概要
高分子の分子特性を解析する場合、分子量などで分別する必要があります。分別方法は多岐にわたりますが、最も良く知られた分別方法は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC、GPCともいう)です。このたび、主な分別法の紹介、およびSECの分離機構、分析精度への影響因子、検出器、および高分子の分析例についてまとめた総説1)を投稿し、掲載されましたので、概要を紹介します。
1)髙取 永一、“サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)などによる高分子特性解析手法について”, 日本ゴム協会誌, 82, 175-182 (2009)
内容の御紹介
高分子の分子特性を解析する場合、分子量などで分別する必要があり、表のような方法が提案されています。この総説では、これらの分別方法を紹介し、次に最も一般的なSECの分離機構、分析精度への影響因子、検出器、および高分子の分析例についてまとめました。
【表1】分別の方法
分別の方法 |
分別の原理 |
サイズ排除クロマトグラフィー |
高分子のコンホメーション・エントロピーによる固定相と流動相の分配平衡による。 |
フィールド・フロー・フラクショネーション |
電磁場、重力場、流動場の中を試料を通過させる。 |
電気泳動 Electrophoresis |
電位差により分別する。 |
流体力学的クロマトグラフィー |
キャピラリーの層流では、径により溶媒の速度が異なることを利用する。分離物質が数十から数分の1程度の大きさを持つ必要がある。 |
MTF |
カラム充てん材との“からみ合い”の効果により、分別する。分岐高分子の分別に有効である。 |
TREF 昇温溶離分別 Temperature Rising Elution Fractionation |
融点の違いを利用して、結晶性の高分子、主にポリオレフィンを分別する。 |