概要
硬質ポリウレタンフォームは断熱性、剛性に優れることから、主に断熱材や構造材として用いられています。本資料では、アルカリ加水分解による硬質ポリウレタンフォームの構造解析事例をご紹介します。
分析内容
硬質ポリウレタンフォームのアルカリ加水分解を行いました。この際、イソシアネートはアミンの形で得られます。得られた分解物を成分ごとに分離後、分析を行いました(図1)。
分析結果
1)アミン成分の分析
アルカリ加水分解で得られたアミン成分のGPC分析と13C-NMR分析結果から、アミン成分は分子量分布を有するポリメリックMDA(メチレンジアニリン)と分かりました。従って、イソシアネート成分はポリメリックMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)であると言えます。
2)ポリオール成分の分析
アルカリ加水分解で得られたポリオール成分のTOF-MS分析結果を図4に示します。図4中にマーカーで示すように3成分が確認できました。いずれもm/z値の間隔が58であることから、ポリオール成分はポリプロピレングリコール(PPG)であると推定されます。また、各ピークのm/z値からPPGの繰り返し単位の質量数(58×n)を引くことで、開始剤種をグリセリン、ソルビトール、スクロースの3種と推定できました。
まとめ
アルカリ加水分解を用いた分析により、硬質ポリウレタンフォームの構造解析を行いました。その結果、イソシアネート成分はポリメリックMDI、ポリオール成分は開始剤の異なる3種のPPG(グリセリン、ソルビトール、スクロース開始)であることが分かりました。
適用分野
プラスティック・ゴム、その他有機材料
キーワード
ポリウレタン、フォーム、イソシアネート、ポリオール