概要
タンパク質はアミノ酸が鎖状に重合した生体高分子であり、食品やサプリメントとしてはもちろん、工業材料や医薬品等、幅広い分野で利用される化合物群です。タンパク質は主に分子量数万~数十万のポリマーですので、GPC(SEC)で分子サイズに応じて分離し分子量を算出することが可能です。
本技術資料では、GPC(SEC)によりタンパク質の分子量(標準試料換算の相対分子量)を解析した例をご紹介します。
分析事例
試薬のウシ血清アルブミン(BSA)を溶離液で溶解し、静置、フィルターろ過後GPC分析を行いました。
結果
はじめに分子量の較正曲線を作成するため、標準試料の測定を行いました。測定対象がタンパク質の場合、標準試料もタンパク質を用いることが一般的です(一部ビタミンを使用)。UV検出器の検出波長は選択性向上のため、タンパク質の構成アミノ酸であるトリプトファンやフェニルアラニンが吸収を持つ280nmを用いることが推奨されます。またタンパク質の変性を防ぐため、オートサンプラーやカラムオーブンは冷却機構を備えたものを使用しています。
図1に標準試料のGPCクロマトグラムを示します。5種の標準試料の溶出時間と分子量が曲線で近似でき、良好な較正曲線が得られました。
次に分析試料としてBSAを測定しました。クロマトグラムを図2に示します。BSAの分子量は66kDaですが、標準試料換算の相対分子量としてMw 80,000、Mn 77,000、Mp 86,000と算出されました。また、より高分子量側(溶出が早い側)に小さなピークが複数検出されており、これらは凝集体(二量体、三量体等)と推察されました。BSAの微分分子量分布曲線を図3に示します。
まとめ
GPCによりタンパク質の分子量を解析することが可能です。弊社では業界で定評のあるTSKgel SWシリーズ(東ソー製)のカラムを取り揃えており、ご要望に応じたGPC分析が可能です。