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技術資料
No.T1715 | 2017.08.01

FE-SEMによる加熱時のその場観察(in-situ)

概要

 高分解能走査型電子顕微鏡を用いた観察手法の最先端技術として、その場観察(in-situ観察)といわれる知見が最近主流となりはじめています。多くの材料において、加熱等の熱的変化に追従する形態変化をリアルタイムにとらえることは、材料特性を評価する上で重要なファクターといえます。
 この報告では、試料室内に加熱システムを搭載したFE-SEMを使用し、真空環境下で連続的な熱的変化を加えた際の形態変化の観察例をご紹介させて頂きます。

分析事例

装置

FE-SEM

JSM-7100F 日本電子製

試料加熱システム

ADURO  ProtoChips社製

試験条件および結果

試料

多層膜フィルム

加熱温度範囲

25℃~400℃

【図1】多層膜フィルム断面の光学顕微鏡写真(右端から二層はナイロン、他層はポリエチレン)

【図1】多層膜フィルム断面の光学顕微鏡写真(右端から二層はナイロン、他層はポリエチレン)

【図2】FE-SEMによる多層膜フィルムの加熱に伴う形態変化観察

【図2】FE-SEMによる多層膜フィルムの加熱に伴う形態変化観察

【図3】FE-SEMによる多層膜フィルムの加熱に伴う形態変化観察(動画)

【図3】FE-SEMによる多層膜フィルムの加熱に伴う形態変化観察(動画)

 多層膜フィルムへの加熱試験を行った結果、ポリエチレン層は100℃付近から変化が始まり、140℃~160℃付近で大きく変形する様子が確認されました。 この影響でナイロン層二層が表面より立ち上がりました。さらに加熱すると、ナイロン層が200℃~230℃付近から徐々に変化、融解していく様子が観察されました。
 このように、多層膜フィルムの各材質が融解する過程を視覚的にとらえることができました。

適用分野
有機材料、構造解析、形態観察
キーワード
多層膜、ポリエチレン、ナイロン

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