概要
ポリオールの一種であるPPG(ポリプロピレングリコール)は、主に発泡ウレタンフォームの原料として使用されています。ウレタン原料用PPGは重合開始剤とPO(プロピレンオキシド)及びEO(エチレンオキシド)から合成され、重合開始剤の種類や比率等で様々な特性を持たせることができます。
弊社では様々なウレタンの原料解析を得意としておりますが、本資料ではTOF/MSとGPCによるPPGの構造解析についてご紹介します。
試料
・ウレタン原料用PPG(図1): 重合開始剤が異なるPO重合体、及びPO/EO共重合体の混合物
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分析内容
1)TOF/MSによるPPG構造解析
TOF/MS(直接導入、イオン化条件:ESI)で重合開始剤の種類を同定しました(図2)。低分子量成分にはグリセリンを重合開始剤とするPPG、高分子量成分にはスクロースを重合開始剤とするPPGが観測されています。どちらもPOのみのPPGであり、EOを含まないことも確認できました。
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2)重合開始剤の混合比率算出
GPC(溶離液:THF)で重合開始剤の比率を求めました(図3)。GPCクロマトグラムの面積比率より、高分子量成分(スクロース開始PPG)と低分子量成分(グリセリン開始PPG)の混合比率を算出できました。
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3)まとめ
TOF/MS及びGPCにより、PPGを構造解析し、PO/EO存在比、重合開始剤、混合比率の情報を取得可能であることを示しました(表1)。
成分 |
PPGの構造 |
混合比率 (面積%) |
|
PO/EO存在比 |
重合開始剤 |
||
①高分子量成分 |
POのみ |
スクロース |
50 |
②低分子量成分 |
POのみ |
グリセリン |
50 |
適用分野
プラスチック・ゴム、その他有機材料
キーワード
ポリウレタン、ポリエーテル